旅をすることから「住む」ことへ:コロンビア生活の魅力5つ

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みなさんは「コロンビア」と聞いてどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。

コロンビアは他のラテンアメリカ諸国に比べ古代遺跡や大規模な自然の景観など世界的に有名な観光地が少なく、日本人にとってどんなところなのか具体的に想像しにくい国なのではないかと思います。

またコロンビアについては、ここ十数年で麻薬カルテルや反政府ゲリラを巻き込んだ内戦が終息に向かい治安は大きく改善されてきた反面、いまだにどこかしら「危険な国」という先入観が拭い切れていないのではないでしょうか。

今回は在住経験者としてそうした現状にメスを入れるべく、あまり知られていないコロンビア生活の魅力を5つほど挙げていきたいと思います。

 

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1.快適で変化に富んだ気候

先日東京在住の方とスカイプ通話をしたとき、「長袖を着ているんですね」ととても驚かれました。実際日本人の多くは、コロンビアと聞くと赤道直下の太陽が降り注ぐトロピカルな景色を思い浮かべるようです。このイメージは決して間違っているわけではなく、カリブ海沿岸地方や内陸部の低地はまさにそのイメージ通り常夏の気候です。一方で首都のボゴタを含む都市居住者の場合、場所によってその生活実感にはかなりのバラエティーがあります。

コロンビア国土の広さは日本の約3倍ですが、人口の大半が冷涼なアンデス山脈の高地に集中しています。そのため赤道から至近距離にあるにもかかわらず、気候は常夏というよりは常春に近いケースが多々あります。たとえば首都のボゴタは海抜約2600メートル、第二の都市メデジンは1500メートルにあり、ボゴタの場合、日中の気温は15−18度程度、朝晩は5度以下に冷え込むこともあります。

 

私は過去3年間ボゴタでの日々を学術論文の執筆や調査に費やしたのですが、暖房もエアコンも要らない気候のおかげで、とても快適に過ごしました。しかしさらに興味深いことに、ボゴタから車で西や南に1時間ほど移動し山を下れば、日差しの明るい熱帯の低地が広がっています。

ボゴタではミドルクラス以上の家族の多くがこうした低地に別荘や農園を所有しています。平日は快適な気候のボゴタで働き、週末はトロピカルな気候の別荘へ出かけ「夏」を満喫する。こうした生活こそが本当の意味の贅沢なのではないかと、しばしば考えさせられます。

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2.スピリチュアルライフ

コロンビアはサルサ、クンビアといったラテン音楽とダンスのメッカとして知られ、とても充実したナイトライフを楽しむことができます。さすがに在住4年目となれば毎週末夜の街に出かけるというようなことはしませんが、来た当初旅行者気分が抜け切らないうちは、よく友人たちと踊りに出かけたりしていました。(踊りは下手の横好きですが)。

しかしコロンビアという国には「お祭り騒ぎばかりのラテンカルチャー」というステレオタイプには収まらない、非常に興味深い一面があります。ボゴタにしばらく滞在して気づくのは、ヨガ、レイキ、アユルヴェーダなど、いわゆる東洋思想や代替医療に対する人々の強い関心です。

たとえば公園でヨガフェスティバルが開催されると、ものすごい数の人が集まります。また(あくまで私個人の交友関係をベースにした話ではありますが)周りを見渡せばヨガのインストラクターとかアユルヴェーダ医療のプロとか、毎週のように家で瞑想のワークショップをしているセラピストとかそんな人が相当数います。

街中にはベジタリアンレストランもたくさんあり、値段が若干高めなのにも関わらず、ランチの時間帯にはどこも賑わっています。面白いことに、人々のこうした「東洋」的なものへの興味は、古くからある先住民の民間信仰や医療とほぼ地続きに混ざり合っているようにも思えます。

 

たとえば、市内の自然食品店ではアンデス産のコカ茶や各種健康食品、インド料理に使うスパイスや高麗人参のエキスなどが一緒くたに売られているのをよく見かけます。

こうした深遠なものに対する関心は、もしかしたらボゴタの冷涼な気候や周囲に広がる手つかずの自然にインスパイアされたものなのかもしれません。底抜けの明るさに加えスピリチュアルな、どこか哲学的とさえ言える人間の奥行きを垣間見ることができるのも、コロンビア生活の魅力のひとつだと言えます。

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3.親日的な人々

あるイベントで一緒になった大学教授の方に「日本は素晴らしい国だと思いますが、あなたの国にも政治的汚職とか社会問題というのはあるのですか?」と真顔で質問されたことがあります。彼が言うには子供の頃から日本人は頭がよく、比類なく完璧な社会システムを作り上げた人たちだと教わって育ったそうです。

コロンビアでは日本に行くことを目指して日本語を勉強する学生もそれなりにいて、彼(女)らの日本に対する過剰なまでの褒め言葉を何度か耳にしたことがあります。(若干理想化しすぎのきらいがあり、また日本人を前にした発言なので多少割り引いて考えるべきだとは思いますが)

こうした例はやや極端かもしれませんが、コロンビアの人々の日本に対するまなざしは、ソーシャルメディアでたびたびシェアされる記事等にも見てとることができます。これらの記事の多くは「日本では通勤電車がどんなに混み合っていても客が整列乗車し決してパニックにならない」こと、「日本の小学校では児童たちが一日の授業の後教室の掃除を自分たちでするように躾けられ、そうしたことを通して真に社会性のある人間を教育している」という主張、日本のロボット技術がいかに世界の最先端を行く優れたものであるかなど、おおむね現代日本のポジティブな面を取り上げたものが中心です。

写真屋さんのチェーンであるFoto Japon やTaller mecanico Japón (直訳すると日本の自動車修理工)など日本の名を使った商標も多く見かけます。いかに自分たちが普段使う自動車やスマートフォン、家電製品などがヒュンダイやレノボ、LGといったブランドで埋め尽くされたとしても、教養のある多くの人が、日本は注目に値する国だという印象を持っているようです。

こうした親日的な人々と交流しながら今一度「日本」という国のポジティブな側面について見直す機会を得ることができるのも、コロンビア生活の魅力の一つではないかと思います。

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 4.自転車大国

ボゴタの人々がたびたび口にする不平のひとつに、市内の公共交通機関の不便さがあります。2000年から漸進的に開通した新交通システム、トランスミレニオ(専用のレーンを走る連接バス)は、蔓延する渋滞へのそれなりの解決策となったものの、ラッシュ時の混雑は半端なものではなく、夕方の移動を敬遠してオフィスに遅くまで居残る人も見かけるほどです。

こうしてインフラ整備が遅々として進まない中、多くの市民に愛用されているのが自転車です。事実コロンビアは世界の自転車レースで優勝しているナイロ・キンタナ(Nairo Quintana)など優秀なサイクリストを輩出する国で、自転車をスポーツとして嗜む人の数は非常に多いと言えます。ボゴタやメデジンなどの主要都市では街中にサイクリングルートがはり巡らされているだけでなく、日祝日はメインの道路の片側車線を通行止めにして、自転車天国として開放している場所も多くあります。

ボゴタはアンデス山脈の懐に位置するにも関わらず、街の大半が平坦で自転車での移動はとても快適かつ迅速です。第二の都市メデジンはメトロ(高架電車)もあるため市内の移動は比較的楽ですが、ボゴタよりも温暖で快適な気候のためか、自転車を愛用する人の数は少なくありません。メデジンでは市内のいたるところにレンタル自転車のスタンドがあり、簡単な登録を済ませば旅行者も自転車で市内観光を楽しむことができるよう配慮されています。

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5.コーヒーカルチャー

先日ボゴタ在住の日本人で輸入業に携わる方とお話ししていたのですが、コロンビア産の良質なコーヒーのうち55%が日本に輸出されるということを聞き、とても驚きました。日本人の間で「コロンビアと言えばコーヒー」というイメージが定着しているのは理由なきことではないのです。

言うまでもなくコロンビアはコーヒー生産・消費大国です。ブラックコーヒーはティント(ティント=tinto とは「色が濃い」という意味で、ワイン等にも使われる表現ですが、コロンビアの日常でティントと言えば間違いなくコーヒーのことです)と呼ばれ、毎朝仕事に出かける前や休息時にデミタスサイズのカップで飲むのが習慣となっています。

街中にカフェもたくさんあり、最近ではコンピューターを持ち込んで長居できるようなところも増えてきました。メデジンのラウレレス(Laureles)という中・高級住宅エリアには雰囲気のよいカフェがたくさんあり、デジタルノマドたる外国人旅行者が毎日のように通いつめる場所もあります。

2014年、このコーヒー大国にスターバックスが進出してきました。スターバックスの登場には賛否両論があり、私の友人の中には、経済侵略である、またはコーヒーが美味しくない、として行きたがらない人もかなりいます。しかし、既存の国内チェーンなどとの競合を見込んでのことかはわかりませんが、コロンビアのスタバは諸外国のそれと比較して驚くほど快適です。ゆったりとしたソファーがふんだんに置いてあり、ホテルのロビーかと見紛うような支店もあります。誇張すれば私の論文が無事完成したのはスターバックスのおかげであるとさえ言えるかもしれません。

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まとめ

コロンビアは目を引く観光地もなく、短期旅行では印象が希薄なまま素通りしてしまう場合も多いかもしれません。しかしゆっくりと腰を落ち着けカフェでコーヒーを楽しんだり、自転車で街を散策したり、人々との友情の輪を広げていけば、この国は世界でも最も住心地の良い国のひとつになるのではないかと思います。

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